なぜ病床はすぐに増えないのか?(前編)

 

病床=ベッド+医療従事者

前のページで、Aさんが「空いているベッドがあるのに、なぜ入院を止めてしまうのか」と言っていましたね。実は、医療機関にベッドを置いておけば患者さんを受け入れられる、というわけではありません。「病床」は、患者さんの診療や療養を支える医療従事者が確保されてはじめて機能するものなのです。

:「病床が足りない」というと、「すぐ増やせばいいのに」と思ってしまっていましたが、スタッフがいなければ、その病床はないことになってしまうんですね。

:はい。医療法で、病院や病床の機能によって配置すべき医療従事者の数に基準が設けられています。また、診療報酬でも病床の機能ごとに病床数と看護職員*1数の比率等(看護基準)が定められており、これによって入院患者一人当たりの入院基本料が変わってくるのです。例えば急性期病棟では10対1看護(常に看護職員一人当たり患者10人を受け持つ)、さらに高度な医療を提供する医療機関は7対1看護が基準になっています。

:じゃあ、看護師が一人確保できれば、7人が入院できるんですね。

:いえ、看護体制は24時間365日、継続して提供するものですから、実際に7対1の看護を提供するには、患者さん1.5人(病床1.5床)に対して一人くらいの看護職員を確保しなければなりません。

 

*1 ここでは、看護師および准看護師を合わせて「看護職員」と呼んでいる。