
病床を効率良く使う~ベッドコントロール~(1)
患者さんが入院するベッドを用意する
A:ではどうやって、患者さんに回復の段階に応じた適切な病床を使ってもらうように運用しているんですか?
T:患者さんに説明して納得してもらったうえで、回復段階に合った病床・病院に移ってもらうことになります。日々変化する患者さんの回復状況を、病棟の看護師長さんが把握し、主治医と相談しながら調整を進めるのです。
B:医師が入院を指示したら、当たり前に入院できるものだと思ってしまいがちですが、その裏では看護師長さんたちが奮闘してくださっていたんですね。
T:はい。こうした調整を多くの病院ではベッドコントロールと呼んでいます。
病床も「回転率」が大事
B:では、いつでも入院を受け入れるためには、常に病棟に空き病床をキープしておけば良いということですか?
T:そうですね。ただ、多くの空き病床をキープするには、必要以上のスタッフを確保しなければなりません。
A:つまり、そのスタッフの人件費もかかってしまう…ということですね。
T:はい。もちろん、病床の想定稼働率や、雇用しているスタッフ数にもよりますが、多くの医療機関では病床稼働率*を8~9割として採算を合わせる想定をしています。ですから、あまり多くの病床を空けておくわけにもいきません。
患者さんの早期離床・早期退院(転棟)を促し、在院日数を必要以上に長びかせず、スムーズに新しい患者さんを受け入れる、つまりベッドの回転率を上げていくことは、患者さんのADLの低下を防ぎ早い回復を促すことはもちろん、病院経営にもプラスに働くようになっているのです。
*病床稼働率…運用病床数のうち実際に使用していた病床がどのくらいかという割合。
